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「…ってな結果報告。とにもかくにも、俺のおかげ。はい、リピートリピート。カーッカカカカ…」
今日の話をいち早く教えに来てくれた裕典は、得意気に反り返り高らかに笑う。
「いや、兄貴は手をあげただけだろ。じいちゃんと…特にばあちゃんの力だよ」
「ば…バカか、おまえ。手をあげるタイミングと角度、ならびに声の大きさ全てが合致しないとダメなんだよ」
否定的な裕太郎に、裕典はムッとした顔で応戦する。
「やっぱ、ばあちゃんは味方に付けて正解だったなあ」
甘いココアに『ふーっ…ふーっ』と息を吹き掛けながら、目だけ裕典の方に向ける。
「おまえ、いつの間に二人に…しかも相手が男だって言ってあったのか?」
「俺は『裕次郎兄貴がマジで惚れた相手だけど、親父が反対するかも…その時は助けてあげて』って頼んだだけ」
裕太郎はしれっとした顔でカップに口をつけ、ゆっくり味わう。
「そんなら、やっぱり裕典は手をあげただけなんじゃ…」
冷ややかな視線が陽向より注がれる。
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