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「……ってなワケ…」
「うぅわあ~…やっぱ厳しいなあ」
「ああ…『現実ってこんななんだ』って、俺達もショックだったわ」
なんとなくいつもの元気を感じない裕典が、『はあ…』と長い息を吐き、リビングの天井を見上げた。
「裕次郎兄貴だってショック受けてんじゃねえ?」
「たぶんな。だけど前みたいにメソメソしないで、『大事な息子で弟なんだよ。家族に愛されてるんだね』って、幸せそうに話すんだわ」
陽向の問いに裕太郎が答えた。
「ま…裕次郎兄貴のポジティブ思考は相変わらずだな。『自分が愛した相手が家族に愛されて育ったなんて、当たり前のようなことだけど素敵だよね』って、まわりに花が舞ってそう」
『ははは…』と陽向も目を細めて遠くを見つめる。
「だけど、どうする?こうなったらハルの魅力でマダムか兄貴達を誘惑してもらうしか…」
「はいぃぃぃ!?なんでそこで俺登場なんだ?」
「そうだ!ハルにそんな役をさせられるワケねえだろ?裕典がしろよ!この中の誰よりも、一番得意分野じゃねえか!」
陽向は俺の前に手を伸ばし、裕典からガードしようとする。
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