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「裕次郎兄貴のことって…」
反対だと釘を刺す他に何を?
「あの日から連日…俺の実家に通いつめているそうなんだ」
「れ…連日?」
驚く俺達に『そうらしい…』と頷く。
「うちは構わないから、気にしなくていいのに…」
「裕次郎兄貴の性格からいくと…その融通がきかないんッスよ。器用そうな顔なのに、すんげえ不器用で真面目なんス」
「確かにな。顔はあんなに………ゴホンッ」
寺河さんは何を考えてか、少し頬を赤らめ咳払いした。
「エロいこと想像したんじゃねえの?」
「してない。おまえと一緒にするな」
そんな寺河さんを目ざとく太中先輩が冷やかす。
「俺の問題より自分はどうなんだ?相手は裕太郎くんなんだろ?」
「えっ…」
「まさか高校生が相手なんて…まだ17歳だろ?」
今度は太中先輩の顔色が悪い。
「俺、何も言ってねえだろ?」
「あれで“気づかない”と思える根拠が知りたい」
否定したいができず、太中先輩は困った顔で寺河さんを見る。
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