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「………風呂は…毎日も入ってないッスよ…念のため…たま~にッス…本当にたま~にで…聞いてるッスか?」
「はいはい♪」
太中先輩は横を向き、肩を震わせている。
「毛が生えてきた頃から入りたがらなくなったくせに、この一年くらいでまた入りたがって。でも、『入った』っつっても…えと…何回か忘れたけど、本当に数えるくらいで…」
「わかったって」
「俺から『入りたい』って言ったワケじゃないッスからね。アイツが拗ねるから仕方なくッスから!ここ大事!はっきりさせとかねえ!いいッスか?仕方なくッスよ!」
「ぶはっ…ぶふふふふ…わかったわかった」
よほど俺が可笑しかったのか、吹き出し口を押さえ笑いを堪えている太中先輩を睨みながら、俺は午後の仕事へと向かった。
だけど、裕次郎兄貴だよ。
毎日毎日…
寺河さんと一緒にいたい一心で。
健気過ぎて涙が出そうだよ。
どうにかなんねえのかなあ…
裕次郎の想いと願いを叶えてやりたやよ。
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