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「おいっ!義兄さんが全部持って来ていいってよ」
「本当に?」
「ったく、さっさとしろよな!太中さんだって暇じゃねえんだから」
(いや…今の段階で太中先輩は関係ないだろう?)
呆気にとられている俺には気づかず、『太中さ~ん』と家具を運んでいる太中先輩を呼ぶ。
「本当に…捨てない?」
窺うように顔を出した裕次郎兄貴に『捨てねえって』と答えながら、裕典は力ずくで扉を開けた。
「なあぁぁぁ!これ全部かよ?どんだけあるんだぁぁ!」
「捨てないでぇー!!」
「よく床が抜けなかったな…」
裕典の叫びにみんなが集まってきた。
「裕典くん、なんだ?」
「あ、太中さん。ここの部屋の“全部”お願いしまッス」
中を覗き、俺達は絶句…
「あの段ボール…何?」
「あ…あのね…全部…本なんだ…」
「はあぁぁぁ?裕次郎兄貴、これ全部?」
陽向と裕太郎は顔を見合わせる。
「しかも…オカズになるような本が何もない。つまらん…今すぐ古本屋に売って小金を稼ぎたい」
「ダメ!全部思い入れがあるし……思い出の本もあるんだから」
恥ずかしかったのか、両手で顔を覆い隠す。
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