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「俺っちとの思い出なんてここには微塵もねえから、もうさっさと売れよ!」
「やだよ!一冊一冊に込められたものがあるんだから。それに、俺達二人を繋いでくれた本だって…」
「義兄さんと兄貴を繋いだのは本じゃなくて、体のパーツだろ?」
「ぎゃー!な、な、な…なんてこと言うんだよ!バカバカバカバカバカぁー!!」
そんな二人を完全スルーして、陽向と裕太郎は段ボールを持ち上げる。
「太中さん、はいコレ。裕太郎と先に積んできて。俺はハルと後から行くから。裕太郎、早く誘導してやってよ」
太中先輩に段ボールを3箱渡し、驚いている裕太郎の背中を押す。
「ハル、2箱いける?」
「軽いのなら…」
「じゃあ俺が2箱いくから、誘導してよ」
裕次郎兄貴と裕典はもめているが、俺達は構うことなく本の段ボールの積込を始めた。
もめてはいるが、二人とも以前の壁が取れたようで、二人の空気によそよそしさはない。
裕典に至っては、兄貴の目に見えないガードがなくなったからか、嬉しそうなんだよね。
何て言うか、お互いが兄弟として甘えてるような感じ…
かな?
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