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とにもかくにも、男の独り暮らしだし、裕次郎兄貴も本以外は必要最低限な人間だから、くどいようだが荷物も本以外は少なかった。
ただ、やはり本に関しては寺河さんの想像を遥かに越えていた模様。
裕次郎兄貴と裕典以外の俺達は、太中先輩の車で先にマンションに着き寺河さんとトラックを待っていた。
2・3分遅れてやって来たトラックの荷台に重ねられた段ボールを見て、寺河さんは唖然。
「やっぱり、全部は床が抜けちゃうからダメ?」
トラックの中で裕典にこんこんと何かを言われ、到着時には既にうるうるしている裕次郎兄貴を見たら…
「客と店員として以上に話すきっかけになった本や、二人の思い出の本もあるからね」
やっぱり寺河さんは甘くなる。
「ほらね、裕典。俺達は本が縁で結ばれたんだから。話が尽きなくて朝まで盛り上がった本もあったし」
「だから~…義兄さんと本より盛り上がったのはベッドの中で、結ばれたってより仲良く連結だろ?」
「キャーっ!またそういうこと言う!バカバカバカバカバカぁー」
裕典も裕次郎兄貴を冷やかして、可愛い反応を楽しんでるっぽい。
たぶん、今までこのテの話は兄弟間で皆無だっただろうから、裕典も新鮮なんだろう。
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