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裕典が借りてきた台車で何度か往復して運び入れた頃には、外はもう真っ暗になっていた。
その頃には、やっと寺河さんのマンションの部屋も興味を持って見ることができ、すっきりした部屋におしゃれな最低限の家具…
それよりも何よりも、高そうな部屋なんだよ。
裕典は隅々までお宅拝見したがっていたが、裕次郎兄貴に寝室への入室は拒否られていた。
「裕太郎、盗聴マイクや盗撮用カメラをどさくさに設置していないか確認しておけよ」
「裕典兄貴ならやりかねない…陽向はあっち側見て」
陽向と裕太郎はキョロキョロとまわりを見る。
「あのなぁ~…実の兄貴の愛の巣を隠し撮りしたり盗み聞きとか…俺っちにそんな趣味があるように見えるか?」
二人は裕典をじっと見る。
「寺河さんに裕次郎兄貴も気を付けて。どうやって忍び込んでくるかわかんないから」
「この際、指紋認証システムにするとかの方が安心だよ」
そんな過激な高校生二人に、寺河さんも太中先輩も目を丸くしているが…
正常運転だからね、これが。
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