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「知っての通り世間知らずで、純粋すぎるくらい純粋だから…ちゃんと見ててやってよ。悪いやつに騙されないようにさ」
「ああ…わかっている」
裕典は困惑している裕次郎兄貴を見る。
「兄貴、俺っちはいつだって兄貴達の味方だから。何か困ったことがあったらいつでも呼べよ」
「ゆ…裕典…」
「金はぜ~んぜんないけど、俺っちでできることあったら何だってしてやっから。兄弟なんだから頼れよな」
裕次郎兄貴はそんな裕典に感動したのか、目に涙をいっぱい浮かべ泣きそうな顔になっている。
「今日から一緒に住むんだから、泣いてばっかで義兄さんに迷惑かけるなよ。あと本はあんま増やすな、床が抜けちまうぞ」
「うん…わかった」
「世の中なかなか上手くいかねえだろうけど、兄貴も頑張れよ。応援してっからさ」
それだけ言うと、裕典は寺河さんに『兄貴を頼んます』と言って頭を下げ、俺達みんなを無理矢理押し出す。
裕典は『ここでいいから』と玄関で裕次郎兄貴と寺河さんを止め、挨拶もそこそこに寺河さん家をみんな一緒に出た。
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