○今日からエロース?③○

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「ふう…裕典のくせにめんどくさい」 「ホントだよ。普段がああだから、余計にわかる人間にしかわかんないときてるだろ?」 太中先輩の車の後部座席に乗り込み、陽向と裕太郎は『はぁあ』と同時にため息を吐いた。 太中先輩は、自然に後部座席に乗り込んだ裕太郎に軽くショックを受けながらも、滑るように車を発進させる。 「えっと…何がため息の原因?」 『聞いていいものか?』と太中先輩が切り出した。 「ん?ああ、裕典がね。めんどくさいから」 「め…めんどくさい?」 「そっ。我が兄貴は兄弟一…いや、一族一ちゃらんぽらんで、生活も女性にもだらしなくて…人間ってことがおこがましいんじゃね?って思われるくらいなんだけど…」 『そうそう』と頷く陽向と、『なあ』と顔を見合わせる裕太郎の二人に、太中先輩も押され気味だ。 「だけど…一族一まわりを見ていて、気を使う人間なんだ…」 「そっ。それに俺達やまわりの人間に弱味を見せるのが苦手だから…」 「ハルちゃんだけじゃないかな…兄貴が本当の自分を出せるの」 「それをわかってて、行かせたんだ?」 『まあね♪』と笑う陽向と裕太郎に、太中先輩はミラー越しに微笑んだ。
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