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“男の飯や”に着くと―――
泣いたせいか目が赤く、目の回りまで擦って赤く少し腫れている裕典を見て…
「二人とも、遅い!もう腹減った!」
「俺達まだ何も食べてないんだから…腹が鳴るよ~」
陽向も裕太郎も普段と変わらない態度で接した。
太中先輩は、俺を見てなにか言いたそうにしていたけど、
「裕典、寺河さんに割引券もらってんだろ?裕典の奢りな」
「さあて、何にしようかなあ。太中さん一緒に行こう」
陽向と裕太郎が自然に気を逸らしてくれた。
太中先輩もバカじゃないから、そんな二人の空気を感じとり、『豚のしょうが焼きにしよう』と裕太郎の後についていった。
「ほら、裕典も早く並べよ。豚のしょうが焼きなくなっちまうぞ」
「なくなるって…そんな倍率高いのか?」
「太中先輩が総なめにしかねない。豚のしょうが焼き大好きだからな」
それを聞き、裕典は先に並ぶ太中先輩を後ろから心配そうに首を伸ばし、持っているトレイを目を凝らして見ている。
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