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家に入ると―――
同時に陽向が俺に抱きついてきた。
「ちょ…お…重い…」
「う~ん…やっぱりハルじゃないとダメ。裕典じゃ反応する気がしない」
「あのなあ…なんだよそれ?」
「ハル以外は無理ってこと。冗談でも誰かハル以外となんて言うなよ…冗談でもちょっと傷付くんだからな」
真っ暗な玄関に拗ねた声が消えていく。
「はいはい、悪かった悪かった」
「全然悪いなんて思ってねえだろ?デリケートなハートを持つガラスの十代だぞ。これがきっかけでグレちまうかもしれないってのに」
「強化防弾ガラスだろ?ダイヤモンドでもない限り、傷ひとつつかねえだろ?」
『ひでえ!』とさらに体重を掛けてくるから靴も脱げねえ。
「本当に…本当にハルが好きなんだからな…ずっと何年も…他の誰にも、ハルの代わりになんてなれないん。ハルしかいない」
切ない声で耳元で言うから、息が耳をくすぐる。
「俺にとっても、好きだなんだは別にして…陽向の代わりなんていない。これは本当だ」
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