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「裕典、喜んでたぞ」
鍋でラーメンの湯を沸かす俺のうしろで、『どうせ俺の顔にだろ?』と子泣き爺のごとくおぶさり膨れっ面が直らない。
「違うって…」
あのあと、本屋から陽向が戻って来た時、裕典に第一声『あの嫉妬深い顔はないわ』とイヤミっぽく言われたことを気にしているようだ。
「陽向が自分を思ってくれたこと」
「『重すぎるとハルに逃げられるぞ』って言われたんだからな」
「へえ、それは知らなかったわ」
裕典もまた余計なことを…
ま、裕典も陽向が可愛くて弄ってるんだろうけどな。
「ハルが“重い”って言ったのか?」
「言ってねえよ。裕典が勝手に言っただけだ。俺は『カッコよくて優しくて、お手伝いをよくしてくれて、宿題もちゃんとする』って言ったんだよ」
「後半が小学生みたいだ…いつまでもガキ扱いしやがって」
また膨れっ面がさらに膨れてそうだ。
う~ん…ダメだなあ俺も。
裕典と一緒だわ。
「昔から可愛いわ」
「なんか、嬉しくねえ!!」
拗ね方が変わらねえとこも可愛いんだけど…
言うとまた煩そうだから止めておこう。
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