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衣更えの頃を過ぎ、裕太郎から陽向の試合の日を教えてもらった。
『いいところまで残ってるんだけど、負けたら陽向達は引退で終わりなんだ』
全然言わねえから知らなかった。
『ハルちゃん…次で最後かもしれない…お願い、行ってあげてよ』
ずっと朝早くから夜まで頑張ってきたんだもんな。
「うん、そうする。ありがとう」
とは言ったものの…
「陽向が何も言わねえのに、行ってもいいのかな…」
ちょっと気になりながらも、俺はこっそり義兄さんと姉ちゃんの写真と一緒に、陽向の試合を観に行った。
陽向達の学校は、前に人気があるって聞いたけど…
確かにファンらしい熱心な女子がたくさんいた。
そして、陽向の人気のすごいの…
(本当に、あんなに人気があったんだ…)
家で見せる姿とはまた違い、飛び抜けて眩しくて輝いて見えた。
試合には負けちゃったけど、俺には誇らしくて誇らしくて…
拍手をしながら、膝の上に置いた義兄さんと姉ちゃんの写真に言った。
「しっかり見てやってくれた?陽向すごかったな。やっぱり二人の自慢の息子で天道家の男だよな」
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