○今日からエロース?③○

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「おはよう、天道」 「あ、寺河さん。おはようございます」 会社近くの駅の改札を抜けたところで、偶然寺河さんに出会った。 「何かいいことがあったのか?」 「ほへ?」 寺河さんは一度じっと俺を見てからそんなことを言った。 「顔色は良いし……やけにゆるんだ締まりのない顔をしている」 「ぶっ…ちょ…あんまりな…」 「幸せそうな表情をしていた。だから何かいいことでもあったのかと思ったんだがな」 “いいこと”と言われても…う~ん… 「あ、部活を引退したんで、陽向が家事を手伝ってくれるって言ったんスよ」 「は?」 「俺としては、学業に専念した方がいいと思うッスよ。だけど、本人の意志って言うか…」 「幸せそうだな。天道家は…」 呆れたような顔をしながらも、寺河さんはクスリと笑う。 「うちよりそっちはどうッスか?裕次郎兄貴…」 「ああ、俺の実家に行きたがっている。どうしても自分達を許してもらいたいそうだ。あの顔から想像つかないほど頑固な彼にも驚かされる」
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