○今日からエロース?③○

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口ではそう言いつつも、寺河さんこそ幸せそうだ。 「『それはそれでいじらしくて可愛いなあ~、チクショー』なんて鼻の下伸ばしてそうッスね…」 「だっ…誰が鼻の下を伸ばして」 「デッレ~とした顔してたッスよ。目尻を下げて」 俺の言ったことが気になったのか、頬に触れながら顔を引き締めている。 「天道も言うようになったな」 「いえいえ…上司の教育の賜物ッスよ」 「だが、天道の上司でいられるのもあと僅かだ」 少し寂しそうな目でポツリと呟く。 「やっぱり…行っちゃうんスか?」 「テラカワとすれば、俺になんとしても向こうに行って欲しいそうだ。だが、俺の条件は彼も一緒に行くこと。これは絶対に譲れない」 いつかの迷いのあった寺河さんとは違い、今の寺河さんは出会った頃のプライドが高い自信に満ちた顔をしている。 それはきっと、裕次郎兄貴にしかできないことなんだろう。 「親はどこかの御令嬢と無理にでもくっつけたいようだが、そうなったら俺は全部相手に話し堂々と破談にする。だから顔を潰されかねないと、迂闊に画策もできないでイラついているのがわかる」
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