○今日からエロース?③○

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「すぐここにあるのに…使い方わかるだろ?ん?」 パッと照らすと、陽向のすぐ近くでキラリと光った。 「なんっか、ムカつく~」 ムッと口を尖らせ、腹立たしげに引きむしるように鍵を拾う。 そのムキになってるのがわかる仕草が可笑しくて、笑いを堪え懐中電灯をもとの場所に戻した。 そんな戸口付近で立つ俺を押し込み、陽向は戸を閉め鍵まで締める。 「帰ってきたなら、どこへも行くな…」 ギュッと俺を抱き締め『明日は迎えに行く』と耳元で呟く。 「んじゃ、帰ってくるの楽しみになるな」 「ホントに?」 嬉しそうに顔をあげる。 「ハチみたいだろ?」 「犬扱いかよ…」 「留守番が嫌いで番犬に向かねえけどな」 痛いところを突かれたと、拗ねたような顔で俺を見る。 「無理のない範囲で迎えに来てくれよ?」 「留守番くらいしてる…」 「俺が来て欲しいんだけど?」 窺うように見てから『わかった』とはにかむように笑う。 「ハル…おかえり」 軽く触れるようにキスをし、『おかえりのキスな』って… ここでキスは要るの? どうなの?
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