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苦笑いしている陽向に『あるよ~!』とテーブルを叩いて返す。
「昨日の残りだって言うおかずも、これまた美味そうに見えるんだわ。寺河さんがまた、嫌みったらしく美味そうに食うのなんの!冷たいコンビニ弁当が胃も心も冷やすんだ…」
「ハル…僻みすぎだろ…」
若干引き気味の陽向と裕太郎の顔に『ごほん』と咳払いする。
いかんいかん、やっかみ根性で毎日見ているせいか、鬱憤が蓄積され過ぎてる。
「でも義兄さん、勘繰られて嫌な思いしてない?『誰の手作り?』なんてしつこく聞かれてさ」
「寺河さんはうまくはぐらかしてる。だけど、それを見て一部の女性社員はヤキモキしてる」
「なんでヤキモキしてるんだよ?しかも一部って…」
「ヤキモキしてる女性社員は玉の輿狙いだからな。『絶対、お金持ちだけど家庭的で、控え目で清楚な美人の彼女がいる!』って、かたまってはギャーギャーとガチョウの群みたいダベってるわ」
それを聞き二人は吹き出して大笑いする。
「すごいなあ、想像力って。底無しだね」
いやいや裕太郎。
こんなのまだまだだって。
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