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「う…ん。太中さんとは、仲は良いと思う。でも…俺は年下過ぎるから…」
「生意気にガキ扱いすぎるのか?」
「そんなには感じないけど、俺が『やっぱり大人なんだな…』って思っちゃって、変に壁作っちゃう」
ムッとした顔の陽向に、裕太郎は無理に笑顔を作る。
「距離を置きたい…とか?」
俺は様子を窺いながら訊ねた。
「それはない。置きたくないし…ただ、追い付きたいって気持ちばかりが焦っちゃって、空回りしてる。そんな自分がまた嫌かな」
「難しく考え好きだろ?ハルや裕典ならまだしも、相手は太中さんなんだから。大人なんだし自分との年齢差も…」
「わかってるんだけどね…大事にされすぎて…ただの贅沢な悩みで、俺のワガママなんだろうけどさ」
裕太郎は真面目だからな…
裕次郎兄貴もだけど、なんでこう真面目なんだろうな。
裕典の兄弟なのに…
「嫌いで別れたいなんて悩みじゃないから、結局は幸せな悩みなんじゃね?」
陽向が隣の裕太郎を見ず、お茶を飲んでから言った。
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