○今日からエロース?③○

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「『同性だから』って悩んで、『年の差があるから』って悩んで……俺も裕太郎達の言うことがわからなくはないけど、普通はそう言うものなのかなあ」 裕太郎を見送り帰ってくると、陽向は洗い物をしている俺の背中にズシリとおぶさり、『ハルはどう思う?』と耳をくすぐるように訊ねる。 「それを何故俺に聞く?」 「だって、いたいけな小学生だった俺を誘惑し、純真無垢なガラスのハートを片想いで苦しめた当事者だろ?」 「は?俺のせい?」 「じゃあ誰のせい?」 ……って聞かれましても…… 俺のせい? 「いやいやいやいや…どう考えてもおかしいだろ?だって俺は…」 「『俺は…』?」 陽向の返しに洗い物の手が止まる。 「俺は…」 俺は…何だろう? 今、何か言おうとした? 何を言おうとした? 「『ガキに勝手に好きになられて、言い寄られて迷惑してる』かな…」 黙っている俺の耳元で、陽向の小さく悲しそうな声が聞こえた。
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