○今日からエロース?③○

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「おはよう」 「あ、おはようございます」 電車を降り改札を出ると、寺河さんがどうやら誰かを待っているようだった。 「誰か待ってるんスか?それじゃ、お先に…」 「おまえだよ」 「俺?」 寺河さんは不機嫌そうに、わりと大きめの紙袋を俺に渡す。 「何スか、これ…?ちょっと重っ」 「弁当らしい。おまえと太中のを含めたな」 「は…い?ええっ!?結構な量じゃないッスか?」 紙袋を開き中を覗く。 「重箱…っぽいッスね…感じが」 「“ぽい”じゃない…まんま五段お重だ」 寺河さんは紙袋を指さし『ふう…』と息を吐き苦笑いする。 「『三人分作った』とあんな風に笑顔で言われてしまったら、何も言えないだろう?」 「どんな風に言ったかわかんないッスけど、だいたい想像はできるッス。可愛すぎて理性でなんとか押しとどまったんスね」 俺がそう言うと焦ったように咳払いし横を向く。 「そこまで言ってはいないだろうが」 「あれ…違うッスか?思わず抱き締めて熱いキスをして、勢いでベッドまで運びそうに…」
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