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寺河さんは神妙な顔をしている。
「ド天然だから自分がどれだけモテるか全然気づいてなくて、むちゃくちゃ無防備っしょ?裕典も心配してたッスけど、騙されやすいとこあるし…」
「それは言えてるな…一緒にいると女性達にしょっちゅう声を掛けられるんだが……純粋だから下心に気付かず、言葉通りを素直に受け取っている…」
「申し訳ないけどわかるッス…」
「大抵の女性達の方が肉食系で、彼が頭から食われてしまうんじゃないかと気が気じゃない。だから丁重にお断りして逃げるように立ち去ることにしている」
キョトンとしている裕次郎兄貴の手を引き、速足で歩いている寺河さんが目に浮かぶ。
「しっかし弁当が重い~…三人で食い尽くせないッスよ……誰か応援を…」
「ダメだっ!」
寺河さんが強い口調で言った。
「天道や太中以外の誰かに食べさせるなんて、考えただけでも腹か立つ」
「う~わ~……寺河さん、嫉妬深そうッスね」
「ふん…大きなお世話だ。俺は本来なら、彼を閉じ込め誰の目にも触れさせたくないくらいなんだからな」
「恐っ…独占欲強すぎないッスか?」
引き気味の俺を、寺河さんは不敵に笑った。
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