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「………それで、裕典がどうしたって?」
ピリピリした顔で食べている陽向が、おもむろに口を開いた。
「え?ああ、裕典さあ昨夜武内さんのこと心配してただろ?それで……」
俺はさっきの武内さんの電話を“隠さず”話した。
この“隠さず”って、俺と陽向の間では大事だって思うんだわ。
オープンにしたくない嫌な話もあるけど、陽向に信頼や信用されるために、俺なりに知恵を絞り出した結果のようなもの。
だから昔から聞かれりゃなるべく正直に話すようにしてるし、過去の女性関係なんて大半は知られてるってこと。
けど、それがあるから、俺の言うことは信じてもらえるってとこもある。
「なんかさ……あの女、裕典を意識しまくってねえか?」
「そりゃ意識はするんじゃねえか?以前から知ってるし、裕典があれだけ熱心に懲りずにpushしてくるから」
『じゃなくて…』と陽向は足を組む。
「普通、『こいつ嫌っ!』って思ったらまず逃げるよな?まして、とことん嫌な相手ならなおさら逃げるだろ?」
「そりゃあな。現に裕典から逃げてたし」
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