○今日からエロース?③○

96/97
前へ
/1932ページ
次へ
寺河さんと太中先輩のいる休憩室へ飛び込み、やっと弁当を食べ始めたが、やたらとこちらに視線を感じるのは気のせいか? 「面白かったんだぞ、おまえが裕典くんと行ったあと」 太中先輩がニヤニヤしながら、ラストにとっておいたらしい白身魚のフライを口に運んだ。 「裕典くんあの顔だし、寺河の“弟”だってんで、ここに来るまでに噂を聞き付けた何人かが聞きに来たんだわ」 「ああ…」 うわ…大迷惑かけたっぽいよなあ… 「『恋人の弟だ』ってさ」 「へ?」 「寺河がはっきり言ったんだよ。『彼は恋人の弟で天道の友達だ』ってな」 「い…たんスか?」 驚く俺に『ああ』と寺河さんは冷静だ。 「嘘は言っていない」 「でも、余計な詮索されるかも…すんません」 頭を下げる俺に寺河さんは『ふっ…』と柔らかく笑う。 「裕典くんを見た者からの情報をもとに、勝手に“きっと恋人はすごい美女”だと想像して騒いでいるだけだ」 「それもあるけど、その前に恋人がいることにッスよ。ガチで玉の輿を狙ってる人もいたみたいッス」 「そうか…だが言えることは、誰も敵わない」 それは寺河さんの顔を見ていれば嫌でもわかることだ。
/1932ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6581人が本棚に入れています
本棚に追加