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焼き肉を食べ始め暫くすると
「なあなあ、もう夏休みだろ?親を交えたアレ…なんとかって…ほら、毎回母さんに泣かれながら帰るアレ」
と裕典が思い出したように言った。
「三者懇談?」
「そうそう!」
「来週からだよ」
「ら…来週ぅっ!?」
俺は裕太郎と裕典の会話に、肉を吐き出しそうになりながらテーブルを挟んで座る陽向を見た。
「初耳だ!」
「来なくてもいいよ…べつに」
すました顔で陽向は肉をハムハムと味わっている。
「“いい”か“いくないか”の問題じゃねえよ。おまえの進路のことだろ?いったいいつなんだよ?」
「………」
黙っている陽向に俺もカッとなり叫びそうになった。
「待って、ハルちゃん!」
裕太郎が手を伸ばし俺の次なる言葉を遮った。
「俺、知ってるから」
「裕太郎っ!」
陽向が隣に座る裕太郎を止めようとする。
「陽向っ!!いつまでもハルちゃんに内緒にしてるなんてダメだ!嫌でも卒業するんだから、進路についてきちんと話をしなきゃ…だろ?」
「裕太郎…」
「いい?」
裕太郎は陽向を見透かしたように見つめる。
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