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「裕太郎に…いてほしい」
「わかった。じゃあ兄貴が買ってくれた肉をがっつり食って、食べ終わったら話そ。あ、兄貴は帰っていいよ。場違いだから」
「ちょ…俺っちハブるんじゃねえよ」
「じゃ、居てもいいけど一人で片付けな。ハルちゃん忙しいから」
裕典は疎外感に涙目になりながら『アイアイサ~…』と力なく返事をする。
そんな兄弟のやり取りは完全スルーの俺はと言うと…
なんとも言えない気持ちに苛まれ、次なる言葉なんて全く出ず、ただただイライラッとしているワケだ。
「なあ、んなコエ~顔してねえで食えよ。いい国産和牛はりこんだのにぃ~」
「食ってるよ」
「あ~…じゃあもっと飲めよ」
「いや、やめとく。完っ全に頭が覚めたからこのままでいる」
俺のイライラを裕太郎は感じとり顔を曇らせたが、陽向は素知らぬ顔で食っている。
その様が、余計に俺をイラつかせる。
「ごちそうさまっ!」
俺は自分でも大人げないと思いながらも、バチンッと叩きつけるように箸を置いた。
「座敷で待ってる。食ったら来い」
それだけ陽向に言い残し、俺は立ち上がると座敷へ向かった。
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