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姉ちゃんと義兄さんの前で気合いを入れていると『ハルちゃん、いい?』と外から裕太郎の声が聞こえた。
途端に体に緊張が走る。
「ああ…」
心臓がドキドキと鳴っているのを聞きながら返事をすると、陽向を引っ張りながら裕太郎が入ってきた。
「悪いな、裕太郎」
『ううん…』と首を左右に振り、裕太郎は俺の前に無理矢理陽向を座らせると、自分は陽向のすぐ隣に座った。
「ハルちゃん、俺のことは気にしないで。だから陽向ととことん話してよ」
裕太郎はいつもより真面目な顔で陽向に『ほらっ…』と促す。
「俺は…べつに…」
「陽向っ!!」
ここまで来て気が乗らないでいる陽向を、普段は大声を出すこともない裕太郎が一喝するかのように怒鳴った。
俺も陽向も“ドキッ!!”と体が飛び上がりそうなほど驚いたが、裕太郎はそんな様子を気にすることなく陽向を見る。
「俺達、このまま高校生でいられないんだ!嫌でも、3月には卒業しなきゃならないだろ?どうするんだよ、いつまで逃げれば気が済むんだ!」
「俺はべつに、逃げてなんかねえよ!」
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