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陽向は陽向で、ふて腐れたように眉間にシワを寄せ裕太郎から視線を逸らせる。
「逃げてるだろ!?一度だってハルちゃんと進路について話をしてない!そうだろ!?」
裕太郎は顔を背けようとする陽向の腕を掴む。
「そんな簡単に話が済む問題じゃ…」
「簡単に済まないなら、なんで相談しないんだよ!ハルちゃんは陽向のたった一人の家族だろ?陽向の保護者になるんだろ?逃げてばっかだと、いいかげん俺だって黙ってられない」
真剣に陽向を怒る裕太郎に、陽向も逃れようと腕を引く。
「簡単な話じゃないから、簡単に言えない!呑気に学生生活遊び呆けてるような金持ちのボンボンならいざ知らず…“絶対に”なんて保証もない…そんな道に…それに…それに…」
チラリと俺の方を見ると、陽向は下唇を噛み締めた。
「裕太郎、陽向はどうしたいんだ?」
「陽向は…」
「言うな、裕太郎!」
俺の問いに答えようとした裕太郎を陽向は制止する。
「俺は…俺は、学校にくる就職案内を見て決める!俺は高校を出たら就職する」
「陽向っ!」
裕太郎が驚いたように陽向の両肩を掴んだ。
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