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「なんで…なんで一度だってハルちゃんに本当にやりたいこと言わないんだよ」
裕太郎は陽向の体を揺する。
「ハルちゃんだってバカじゃない!陽向が悩んでること、ちゃんとわかってるはずだ!」
「……」
陽向は何かを言いたそうな顔をしてから顔を逸らせる。
「陽向はどう進みたいんだ?」
俺はそんな陽向に聞いた。
「いいかげん教えてくれよ。聞かなきゃ俺はうまく応援できない。器用じゃねえからな」
「ハル…」
「俺は陽向くらいの頃、陽向の100分の1も頭がよくなかったから、進学の可能性なんて0だった。って言うより、やりたいことも、学びたいことも何もなかったんだわ。勉強嫌いだったしな」
苦笑いする俺を見て、裕太郎も陽向を掴む手を緩める。
「やりたいことがあるっていいなあ。なりたいもんがあるんだろ?行き当たりばったりの俺と違って、陽向はきっと先の先の先まで調べてるだろうし、イメージしてるんだろ?」
陽向は目を俺に向け、目の前の裕太郎を見る。
「言うだけ言ってくれよ。何も知らされないまま、自分を無理に殺してる陽向は……見たくねえんだわ」
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