6575人が本棚に入れています
本棚に追加
/1932ページ
姉ちゃん達が生きてた、陽向がまだ子どもの頃―――
「あ、ハルちゃんと兄ちゃんだ」
帰り道、小学校から帰ってきた裕太郎と陽向と、俺と裕典がたまたまいっしょになった。
「……喧嘩してきたの?」
口の横を切っている裕典を見て、裕太郎は心配そうに見上げて言った。
「喧嘩じゃねえよ。『俺の彼女をとった』とか訳わかんねえ男のファンがハルを熱烈に取り囲んでだな」
裕典の説明に、裕太郎は驚いた顔で俺を見るが、陽向は呆れたようにタメ息を吐く。
「それならハルが原因?」
陽向が鋭い視線を俺にぶつけた。
「俺?違うって、俺は無実なの。裕典が付き合った…いや、ちょ~っと一瞬一緒に遊んだ女の子に俺の名前を言ったの!そしたら俺が狙われたんだ」
陽向のさらに鋭い視線が裕典にぶつかる。
「なんで自分の名前を言わないで、ハルの名前を勝手に使うんだ!」
「いやあ、大人の事情だわ。個人情報に関することだから…」
「ハルが変なやつに襲われたらどうすんだ!」
陽向が怒って裕典の足を踏んだ。
最初のコメントを投稿しよう!