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「そんなことが…?」
「あったんだよ。ハルちゃんは忘れてるだろうけどね。俺も陽向も忘れてないよ。なんだかんだ言ったって、陽向はあの頃から好きだっただろうし」
「いや、あの頃はナイな」
裕太郎がニヤリと見てくるから、陽向も変に意地になったように強調している。
「陽向は素直じゃないから。毎日毎日『ハルが~…』『ハルのヤツが…』って、聞かない日がなかったよ。最初っから好きだったんじゃない?認めないだけでさ」
「そんなワケねえだろ?ったく…」
ニヤニヤしている裕太郎に陽向はバツが悪そうだ。
「だけど、俺がそう言ったからって、陽向が縛られる必要はない。陽向は陽向がやりたいことをすればいいんだ」
「だから、俺のやりたいことは法に携わる仕事だよ。目標は40歳になる頃には、ここかこの近くに事務所を構えるのが………夢かな…」
「なら目指せよ」
俺が言ったことにビクリと体を震わせ顔を強張らせる。
「俺は……学校にだって企業からの案内が来ているから、そこを紹介してもらうから」
「意味がわかんねえよ…」
そう言って頼りなげな目で俺を見る。
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