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「今の段階で陽向の成績だとどうなんだ?」
「一番上だと、今からじゃ厳しいね。でも本命だとほぼOK!かな?陽向は二年の夏以降からさらに成績伸びたからね。俺も同じとこ希望なんだ」
「そうか…」
俺は陽向を見た。
「なら、やれるとこまでやれ」
「かっ……簡単に言うな!どれだけ…」
「おらよっ…」
俺は陽向の踏ん切れない悩みを予想し、こっそり隠しておいた通帳と印鑑を陽向の前に出した。
「だ…ダメだ…」
陽向は首を左右に振る。
「姉ちゃんの保険金だ」
「ダメだ、ハル!これは母さんが最後にハルに遺した…」
「おまえは、姉ちゃんの最愛の息子だ。誰がなんと言ったって姉ちゃんの息子だ」
それでも陽向は首を振り『それなら…』と何かを言いかけた。
「義兄さんが遺してくれたモンは、おまえが最後に必要なときに使え」
「だから…だから嫌だったんだ!」
“バンッ!!”と畳を両手で叩いた。
「ハルなら絶対この選択をするって予想できたんだっ!!ハルは17からずっと…俺の為に自分を…」
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