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「ぶっ……バーカ。陽向、勘違いしてるんじゃねえか?俺が少なからず自分の犠牲になったとかさ」
「だって事実だろ?俺がいなきゃ、ハルはもっと面白おかしく過ごせたんだ。もっと自分の欲しい物買って、もっと自由に…」
畳に置いた手をギュッと握り締めている。
「いやあ……どうだろう?陽向がいなきゃ、ハルはやさぐれて引きこもりでデブの出無精になってただろうな」
洗い物が終わったのか、入り口から裕典が顔を出し口を挟んできた。
「きっと漂流して無人島生活を送るギャグ漫画のキャラみたいにさ、髪はボサボサで髭もじゃで、ピザやポテトを宅配で頼んで、そればっか食って腹がタルンタルンになって…」
「無人島に宅配ピザなんてねえよ!その時点で無人島じゃねえだろうが!!」
「隣の島から爆乳美人デリバリー娘が運んできてくれるかもしれねえだろ!水上バイクでバシュンとだな。『パンチラはプライスレスで~す』なぁんてな」
裕太郎が立ち上がると、裕典を無理矢理押し出し、何かをきつく小声で言うと戸を閉めた。
「ごめん、兄貴が入ってくると、いかがわしい雰囲気にしか…真面目な話ができない」
ため息をつき、また座る。
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