○今日から善戦○

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「『ウジウジ迷ってる陽向はらしくねえの。惚れるもんも惚れられねえな』ってことはさ、今までの路線でOKってことだろ?オレ様何様陽向様路線だ!」 「は?」 陽向の目から怒りの色が薄れていく。 「つまり、悩むな!突き進めぇぇ!!ってことだ。今までの陽向のように陽向らしくいれば……ハルは惚れるしかねえ!」 「ちょっと待て!その解釈おかしいだろ!?」 慌てる俺に、裕典は人差し指をたて『チチチチッ』と舌を鳴らす。 「だってハルが言ってるんだから。武士に二合米だ」 「『武士に二言はない』だ……おかしいとか気づけよ…」 裕太郎は目を閉じ拳を握りしめ、プルプルと震わせている。 「いや、そう言ったけど……言ったのは俺だけど……惚れるかどうかは…うっ…」 陽向が俺を振り返りジッと睨み付けている。 「わかった……俺は今回、ハルと母さんに助けてもらう」 陽向は『はあ…』と息を吐いた。 「早く一人前になって、少しずつでもハルに返す」 「いいのに……」 「それは譲れない。ケジメだから」
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