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二人を見送り家の中に入って鍵を締めると、陽向が俺の両手を握り締めた。
「ハル……俺は本当にこのまま、進路を進めていいのか?」
「ああ。おまえが選んだ道なら、悔いのないようにしろ」
「失敗するかもしれない……無駄に終わるかもしれない……実の親なら、もしかしたらもう少しがっつけたのかもしれない。でもハルはハルだから……」
陽向はグッと下唇を噛み下を向いた。
「俺はハルに負担ばかりかけてきた……そう考えたら、言おうかと思ったこともあったけど、言えなかった……ごめん」
「陽向が考えなしに黙ってるはずがないってわかってた。そりゃあ時々不安にもなったよ。『信用されてねえのかな?』なんてな」
「そんなことない!俺はハルを裕太郎と同じくらい信用してる」
おいおい、基準が裕太郎なの?
まあ、陽向の中じゃそうなんだろうな。
「まだ先の先はわからない。だけど大学は絶対に合格する」
「どんな道だっていいって。大学でまた目標が変わったってかまわない。ただ、後悔だけはするな。陽向には、“後悔”って似合わねえんだよ」
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