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「『うちのバカ息子がもう少し見習ってくれたら……』と途中から泣いてしまわれて……そんなこともありましたが、とても感心しておられました」
「めっ…め、め、滅相もありませんです。私なんて、自慢できる特技もなければ、成績なんてカス同然で……出席率だけで卒業できたようなもんです」
あわてふためく俺を見て、先生は目を丸くして陽向を見る。
「なかなかユニークなお兄さんだな」
「はい。一緒にいて飽きません。毎日、とても楽しいです」
二人はそう言って笑った。
この先生、見た目は気難しそうだけど、とても生徒に好かれているようだ。
陽向も信頼しているのがよくわかる。
「最後に……お兄さん。弟さんを応援してくださっていること……私自身もとてもありがたく思っています」
「えっ……そんな…」
「陽向くんから今までの話を聞いています。お兄さんの頑張りには頭が下がります」
俺は首を左右に振った。
「私は陽向がいてくれたおかげで毎日やってこれました。私自身が陽向に支えられています」
そう言って陽向を見ると、陽向は無理に真面目な顔を作り、先生は『そうですか…』と微笑んだ。
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