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廊下に出ると、陽向は途端に俺の腕を掴み赤い顔で見下ろした。
「もう……先生の前でああいうこと言う?」
口ではそうは言っているが、照れているのかゆるんだ口元を手で押さえた。
そんな陽向の姿を見た(女性方)何人かが、“ハートにズキュン”と来ちゃったのか、ほどよく頬を染め釘付けになっている。
中には嬉しそうにヒソヒソと頭を寄せあっている母娘まで。
「嘘は言ってねえだろ?」
「言ってないけど……俺が…他人の前とか…ましてや先生の前だと……反応に困るんだよ」
『あちぃっ』と俺から顔を背け、手で顔を扇いでいる。
「裕典たちの前で言ったことなかったか?」
「裕典や裕太郎は、他人だけど他人じゃねえからいいんだよ」
そんな変に意地っ張りなところが俺は可愛く見えるが、まわりの女生徒達には、話は聞こえなくても先程からの陽向の様子が新鮮だったようで、目を輝かせて見ている。
「どうでもいいけど、おまえさっきから見られてるぞ」
陽向はハッとしてまわりを見回す。
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