○今日から善戦○

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いよいよ、陽向の高校最後の夏休みに突入した。 陽向は裕太郎と、夏休みに入ってからの数日、学校の図書室や近くの図書館へと朝から出掛け勉強している。 しかし学校へ行けば、二人が来ているからと図書室は学年問わず女生徒でいっぱいになり、ついには『わからないから教えて♪』と行列になったり。 うんざりして空き教室に行っても、ゾロゾロとついてくるらしく、全く落ち着けないらしい…… 図書館もそんなに長居ができないようで、日に日に陽向はイラついてきているように見える。 陽向とすれば、受験に対しナーバスにもなっているところもあるし、失敗できないと言う恐怖感や緊張感があるんだと思う。 「陽向、明日からさ、裕太郎とウチで勉強しろよ」 「嬉しいけど、熱いし」 「は?クーラー入れろよ。体冷やし過ぎない程度にさ」 それを聞き、陽向は黙る。 「もしかして、電気代でも気にしてるのか?んなもん、食費やら色々削って捻出すっから」 「でも……」 「陽向はそんなこと気にする必要ねえよ。姉ちゃんだって、きっとそう言ったぞ」 陽向の目からは、俺への遠慮が窺える。
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