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太中先輩に裕太郎がウチに勉強に来ることを羨ましがられながら、あっという間に一日が終わった。
『そのうち、差し入れを持って行く』と張り切ってくれてたから、『それなら食材を♪』と言っておいた。
貴重な高級たんぱく源を期待しよう!
駅を出て、冷蔵庫の中身を思い出しながら家路を急ぐ。
さすがにこの時期は、俺の帰宅時間だと言うのにまだ明るい。
「昨日、魚を買ったんだ。あれを……」
そう呟いた時だ。
「待てーっ!!」
家の近くで陽向の声に似た声が聞こえた。
「はっ…離せよっ!」
誰かの声も聞こえる。
「こらっ!騒ぐな!話を聞きたいだけだ」
裕太郎の落ち着かせようとする声まで……
「おいおい……痴漢でも出たんじゃねえだろうな?」
慌てて声のする方へと走る。
角を曲がって見たものは……
身長160cmくらいの少年が、左右から陽向と裕太郎に腕を抱えられ大暴れしていた。
「ん?あーっ!!こいつは……あいつじゃねえか?おい、久しぶりだな」
いつぞや俺ん家周辺を彷徨いてたガキだ。
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