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「離せぇー!」
俺の話なんか聞いている風でもなく、このガキは捕まった宇宙人状態のくせに、海老のように暴れている。
「話を聞くだけだ!少しはじっとしてろ!」
陽向の声に一瞬ピタリと止まり、陽向を睨み上げるとまた暴れ出した。
「ここじゃなんだし、家の前……」
と、大人の余裕の対応を見せようとした時……
“ドガッ”
ガキが暴れ振り上げた足が、男として“そこはダメでしょ!!”な俺の体のパーツにヒットした。
「ぐはっ……」
これはやっちゃイカンでしょ……
俺は身を屈めてうずくまり、苦痛に声も出ず、ただ滝のような脂汗だけが流れ落ちる。
俺以外のメンズはどんな顔をしているのか見えねえけど、その場は一瞬にして凍りついたかのように静かになった。
「ハ……ハル?」
「……」
心配そうな声を掛けてくれる陽向に、なんとか肘を曲げて腕を出し、『今は無理』な意思を手を左右に振ることでしか表現できない。
「てめぇ!!」
陽向がさらに怒ったように叫んだ。
「ひな……た……ちょ…」
俺は陽向を手招きした。
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