○今日から善戦○

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「はい」 振り返ると、60~70歳くらいの白髪混じりで品の良いスーツ姿の男性が立っていた。 「突然申し訳ありません」 深々と頭を下げるこの人のことは、どうも覚えがない。 ただ眼鏡の奥の瞳は、戸惑った光を宿しているようにも見えるが、強い意志さえも感じる。 「私は玉木義彦と申します。畏れ入りますが、少しお時間をいただきたいのですが…」 「えっ?いや…あの……申し訳ありませんが、今から来客がありますので……」 (初対面でいきなり時間が欲しいなんて何だよ?宗教かセールスじゃねえだろうな?) 俺が警戒しているのを感じたのか『それなら問題ありません』と玉木さんは苦笑する。 「来客とは、中学生の少年……ですよね?」 「えっ……ああ……はい……」 なんだ、この人……何で知ってる? もしや、俺が中学生の……しかも男子と良からぬことをすると思い、取り締まりに来た、実は警察関係の人だったりするのか? それとも、こんな人のいい顔をしてるけど、実はもっとややこしく、少年を使った美人局的な? まさかなあ。
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