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「あの子は……私の孫なんです」
「お孫…さん?あの子が?」
『ええ……』と微笑みを浮かべながらも、どこか不安そうな様子だ。
「春休み前から、いくら注意をしても帰宅が遅くなりがちな日が何日かあり心配していました。春休みも終わり大人しくなっていたのにまた最近……」
夏休みに入ったから、また時々来てたのか?
でも何のために?
「昨日、あの子が帰ってくるなり私に言ったんです。『どうしよう……逮捕されちゃうかもしれない』って。それで理由を聞き、こちらに伺わせていただきました」
「あ…いや……そんな」
「本当に申し訳ありませんでした。私が知らなかったこととは言え、ずっとご迷惑をおかけしていたようで…」
さらに深く頭を下げてくれる玉木さんに、俺もなんとも言えず頭を下げる。
「あの……それでお孫さんは何故ウチに?」
「そっ…それは…その……」
玉木さんは顔を曇らせ、俺から視線を逸らせる。
「理由もなしに、ウチなんかに来るはずがありませんよね?」
何か考え悩んでいるのか、下唇を噛み難しい顔をする。
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