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「お孫さんにとっては本当に重要な何かがあるのなら、話していただけないでしょうか?」
俺がそう言うと、玉木さんはさらに表情を変える。
けれど、ここは理由を聞いておかないと。
「ウチみたいな何もない家にずっと通ってくれているからには、とても重要なことがあると思うので……」
それに、ないとは思ってるけど、
万が一にも万が一なら……
「お…そらく、きまぐれからかと……ですから、あの子にはもう二度と来ないようにきつく言っておきます」
頭を再び下げ、今すぐにも立ち去りそうな雰囲気だ。
「きまぐれから何度もわざわざ?そんなことはないでしょう?」
自分でも今のが苦しかったと気づいたのか、玉木さんは顔を上げた。
「あの……」
玉木さんが何かを言いかけた時、
「あ、ハルちゃんだ。ハルちゃん、おかえり~」
「ハル、おかえり。アイツやっぱり来ないぞ」
裕太郎の声がし、陽向と二人でやってきた。
「て、天道さん。それでは私はこれで……」
玉木さんが慌てて逃げるように立ち去ろうとした。
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