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「「おじいちゃんっ!!?」」
俺と裕太郎は驚き声を合わせ、陽向と玉木さんを何度も交互に見た。
だが、玉木さんは眉を寄せたまま黙って横を向く。
「ちょ…ちょ……ちょっと待って……この玉木さんが?」
それを聞き、陽向はビクリと反応したかのように体を揺らす。
「タ…マ……キ……タマキ……そうだ。タマキなら間違いない。昔、父さんが言ってた。タマキのおじいちゃんだ!!」
興奮気味に高い声で俺にそう言うと、玉木さんに顔を向けた。
「俺に会いに来てくれた?」
「……」
困惑した表情で黙っている玉木さんを見て、俺は『ここじゃなんですから……』と促した。
「いえ……もう……私は……」
「待って!」
陽向が後退りする玉木さんに駆け寄った。
「おじいちゃんだよね?そうだよね?」
玉木さんは陽向から目が逸らせず、動けないでいる。
「陽向……陽向だよ。今は天道だけど薮之内陽向だよ……父さんの名前は、幸治」
自分の胸を必死に叩き、訴えるような陽向に、玉木さんは唇を震わせ、
「ひ…なた……」
やっと陽向の名を呼んだ。
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