○今日から善戦○

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「おじいちゃん、俺は天道陽向だ!俺の家はここだけなんだ。俺の母さんの名前は夏姫……他は要らない」 陽向は立ち上がると、二階へ駆け上がってしまった。 困惑している俺に、裕太郎が『大丈夫だから』と声をかけ後を追ってくれた。 玉木さんはガクガク体を震わせると、ボロボロ涙を流し項垂れた。 「やはり来るんではなかった……来てはいけなかった……」 「そんなことありませんっ!」 俺は玉木さんの傍へと寄った。 「陽向、玉木さんが来てくれて喜んでたじゃないですか」 「あの子にとって、私達は思い出したくなかった存在だったはずです。消したい過去だったかもしれない……」 グッと手を握り締め目を覆う。 「あの子の母親は…私の娘は男に走り借金を作った挙げ句、まだ幼い陽向に暴力を……」 「……っ」 「おかしいと思っていたんです。陽向に最後に会ったのは、陽向が2つか3つの頃……なのに、私を覚え認識できていた。あの子の記憶力から考えれば、覚えていないはずがない……娘から受けた理不尽な暴力を……」
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