○今日から善戦○

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「たとえ…たとえそうだとしても、お母さんと玉木さんのことは、陽向の中では別物として考えていると思います」 『えっ……』と玉木さんは顔を上げた。 「陽向って、好き嫌いがはっきりしています。時々口がうまくてお世辞は言うけど、嘘は言いません。玉木さんのことを記憶の中から消したいのなら、うちに誘ったりしませんよ。あの場で追い返してるはずです」 「だが、娘のことは……」 「陽向は両親の間に起こったことを全部覚えてました。実は義兄と姉が亡くなってすぐ、陽向のお母さんがうちに来たことがあるんです。その時、話してました」 玉木さんの顔色が変わった。 「陽向は……はっきり態度で表していました。顔を打たれても、負けてませんでした」 「なんだってアイツは……自分の子どもを苦しめてばかり……あんな娘…」 「それでも俺は、陽向のお母さんには感謝しています。陽向をこの世に送り出してくれた……この事だけは、俺は感謝しています」
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