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体がさらに震えを増し止まらない。
「こんな狡くて汚ない俺の考えなんて、陽向なら顔を見ただけで見抜いちまう。ましてや、目の前に血の繋がった人間がいるんだ…きっと……こんな俺なんか嫌いになって……」
顔を手で覆う俺を裕典が抱き締めた。
「何が悪いんだよ?ハルは何も悪くねえよ。今までずっと一緒に暮らしてきたんだぞ。ハルがどれだけ陽向を大事にしてきたか……守ってきたか、俺は知ってる」
「だけど、血の繋がりがある人間がいるってわかったら……俺は勝てる気なんかしない……実際におばあさんや弟とも時間をかけて一緒にいたら……だってどんなに頑張ったって……俺達に血の繋がりはないんだ……」
抑え込んでいた不安が涙になって溢れ出した。
「姉ちゃんだっていない……義兄さんだっていない……陽向だけなんだ……俺には陽向しかいないんだ……」
「ハル……」
「陽向を失ったら……俺はたった一人になる……裕典ぇ…一人は嫌だ……一人は嫌だよぉ……陽向がいない毎日なんて……耐えられない……陽向ぁ…」
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