○今日から善戦○

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震えの止まらない俺の身体を、裕典は痛いくらい強く抱き締める。 「なん…で……なんでそれを陽向にぶつけてやらないんだよ。そんなに陽向を想ってるなら……そんだけハルが苦しいなら、素直にハルの気持ちを言えばいいじゃねえか……」 裕典の声は今にも途切れそうで、俺が苦しいように、裕典も苦しんでくれているのがわかる。 「言えば…言ったら陽向を縛ることになるだろ?陽向の選択肢は俺だけになる。俺の言葉ひとつで、陽向は自由を失うことだってある……一人にはなりたくない……だけど、陽向の足枷になってやりたくない……」 「陽向はハルと居ることをいつも望んでいるじゃねえか……大丈夫だ。絶対、陽向は喜んでハルの元を選ぶ」 「それじゃあ、おじいさんは?おばあさんは?弟は?みんな…陽向と血が繋がってるんだぞ。いつか後悔する日が来るかもしれない。後悔して悲しむ陽向を見るのは嫌だ……」 裕典は抱き締めていた腕を離し、俺の肩を掴む。
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