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「ぜ~んぜん。ハルちゃん、俺はあの場に居させてもらえて良かったと思ってるよ。ありがとうね」
そう言いながらリュックを背負い、ポケットに携帯が入っているかとか確認している。
「なあ、陽向……どうだった?」
「う…うん。嘘言っても仕方ないか。強がってたけど……色々思い出しちゃったみたい。ハルちゃん、陽向のお父さん達が別れた頃って、陽向がいくつの時?」
「さあ……ただ、おじいさんは最後に会ったのが2つか3つの頃だって。なんで?」
『そうか……』と裕太郎は目を伏せる。
「陽向、覚えてるんだ。そのお母さんにされたこととか…お母さんを迎えに来た男に、お母さんを追いかけて行ったら蹴飛ばされたこととか……」
「なっ…なんて酷……」
言葉に詰まる俺に裕太郎は頷く。
「でも『お父さんには言うな』って。その頃は、昼間はほとんどいつも一人でいたって……」
「いつも…一人で……そんな小さな子どもが……そんなこと、初めて聞いた」
「陽向はプライドが高いもん。弱音を吐いても最後まで吐かない。すごくハートが強いけど……きっとおじいさんが来なかったら、俺も一生知らなかったはずだよ」
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