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俺が初めて出会った頃よりも、ずっとずっと小さな幼い陽向が母親から暴力受け、見知らぬ男にまでそんな目に……
「陽向は極度に一人を嫌がってたのは、それもあったからか……」
「たぶんね。話を聞いてて、ハルちゃんがウチに迎えに来るまで不安そうに待ってたこととか、色々繋がってさ。俺が泣いちゃったよ……」
裕太郎は目を潤ませ、グッと堪えた。
きっと陽向に潤んだ目を見せないために。
「ありがとうな、裕太郎。裕太郎、やっぱすげえわ」
「へ?俺?なにもすごくないよ。陽向を会った時から大好きなだけ。一生の友達だからね」
そしてそれは、陽向も同じだ。
だからこそ、裕太郎には俺とはまた違った意味で、無防備なほど心を許し頼っている。
二人が築いてきた絆は、きっとこれからも続いていくんだろう。
「さあて、腹減ったし行くか。我が家の若殿様のお守りもそろそろ限界だろ?」
「その逆。きっと陽向が逃げたがってるよ」
『くくく……』と肩を揺らせ裕太郎は想像して笑う。
「裕典は裕典で、俺が裕太郎に話を聞けるように時間を作ってくれたからな。いい男だわ」
「俺の兄貴ですからね」
二人して顔を見合わせ、大笑いしながら家を出た。
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